ミュートビートとじゃがたら

80年代、日本で信用できる音楽は、ミュートビートとじゃがたらだけだった。
ミュートビートは極限までクールでソリッドで、じゃがたらは異形のなまはげのように強烈な違和感をやたらめったらに放ちまくっていた。
このふたつのバンドは、一見、正反対のように見えて、そのじつ、そっくりだった。
ミュートビートは、削いで削いで削ぎまくった果てに本質に辿り着き、じゃがたらは、ミュートビートが削いだものを重ねに重ね、重ねまくった果てに本質に辿り着いていたように思う。
方法論が真逆なだけで、目指す志の地点は、1mmも違っていなかった。どちらも、過剰で、熱量の大きい物語を抱えていた。
そうだったからこそ、ミュートビート とじゃがたらは、よくタッグを組んだ。双方とも、シーンから阻害されていたという共通点を差し引いても、この両者は、とてもよく似ていた。
ミュートビートはインストレゲエ&ダブ、じゃがたらはフェラ・クティ直径のアフロビート。そもそも、リズムを真んなかに置いているようなバンドは、このふたつ以外にはなかったんだよ。
この映像は、ミュートビートの硬質な演奏に情念をぶつけるかのような叫びでじゃがたらの江戸アケミが応える、なんとも幸福な瞬間が切り取られている。
これ以降、ミュートビートは小玉さんだけが引き継ぎ、アケミちゃんは彼岸へ旅立った。クソみたいだった80年代に、この両者がおなじステージにいた奇跡に立ち会えたのは、僕の宝物だ。

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