「グーグルマップの社会学 – ググられる地図の正体 -」

奈良県立大学地域創造学部専任講師で、「つひまぶ」の編集メンバーでもある松岡慧祐さんが、このたび、初の単著を上梓されました。光文社新書から。
「グーグルマップの社会学 – ググられる地図の正体 -」

「グールグマップの社会学 - ググられる地図の正体 -」

本日発売で、東梅田の旭屋書店でゲット☆
新進気鋭の社会学者による、新しい地図論!て書いてますよ☆ かっこいい!

松岡さんは、もともと、天神橋筋商店街にある関西大学リサーチアトリエにいて、その時代からお付き合いさせていただいております。
テーマが細分化された地図を「マップ」と名付け、社会学的な地図のあり方を研究されている学者さんです。
観光マップやハザードマップなんてのが、そうですね。
特に、地図の現代史は学問的にまだまだ手薄な領域だと思うので、「マップ」の研究は、社会学的にも意味のある研究だと僕は思っています。

関西大学リサーチアトリエ時代、彼は、そんな「マップ」づくりを実践するべく、天満の古書店マップ「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」をつくりました。

古書店マップ

僕自身も天満には古書店がたくさんあることは知っていたけれども、彼が作成した古書店マップによって、その全貌が認識できるようになったわけです。なんとなくの印象ベースで認識していたものが、整理整頓されたかんじ。古書店以外の店や施設は極力省かれているので、どこにどれだけの古書店が存在するのかが、容易にわかるようになっているわけです。それが、「マップ」。
さらにですな、古書店マップが作成されたおかげで、当の古書店さんたちが、同業者がどれだけいるのかを正確に把握したのみならず、掲載された古書店同士の交流が生まれたという、思わぬ実りを、このマップはもたらしたのでした。

じつは、僕がつくった北区の駐輪場マップ「YesPa!」も、彼の言うところの「マップ」の一種です。
もちろん僕はそんなことを考えてつくったわけではなく、広告屋の発想とメソッドを使ってつくったわけですが(じつは、広告屋の発想やメソッドは、「マップ」の概念ととてもよく似ています)、それが彼に評価されて、彼の博士論文にも取り上げていただいたのでした。

懐かしくなって、思わず、松岡さんの博士論文を引っ張り出してきた(笑)

「グールグマップの社会学 - ググられる地図の正体 -」

と、ここまで書いて気がついたのだけれども、なーんと、その「YesPa!」が、今回の新書に引用されているではありませんか! なんちゅーかほんちゅーか、ありがたいやら気恥ずかしいやら。。。
ありがとうございます、松岡さん。

「グールグマップの社会学 - ググられる地図の正体 -」

というわけで、彼の本、「グーグルマップの社会学 – ググられる地図の正体 -」です。
発売日の今日買ったばっかりで、まだパラパラとしか見ておらず、感想も概要も書けないので、とりあえずは、以下、目次を。

【第1章 地図の社会学】
地図とは何か/社会が地図をつくる/地図が社会をつくる/グーグルマップから現代社会をとらえる

【第2章 グーグルマップ前史】
地図の大衆化と精密化/都市地図 – 都市化・郊外化の表象/住宅地図 – 都市の匿名化と地図の記号化/鉄道路線図と道路地図 – 移動の地図/観光マップとイラストマップ – 演出の地図/都市情報化と地図の細分化・マニュアル化/<地図>から<マップ>へ/第三の地図

【第3章 グーグルマップの現在】
3‐1 デジタル化
紙からディスプレイへ/地図のデータベース化とGIS/ジコチューに動く地図 – カーナビゲーション/地図とウェブの幸福な出合い – 〝フリー〟になる地図
3‐2 グーグルマップはどう進化したか
地図をググる/「探索」から「検索」へ/ローカル化・リアル化するグーグルマップ/スマホ時代のグーグルマップ/グーグルマップのナビ化
3‐3 個人化
移動する身体とユビキタス化する地図/地図が「わたし」に最適化される/地図のパーソナライゼーション/「いま・ここ」のマッピング/フラットな地図のデータベース/見わたす地図から導く地図へ

【第4章 グーグルマップが閉ざす/開く世界】
4‐1 断片化
ディスプレイの制約/全体見えづらさ/「エリア」の不可視化/越境する地図/地図のデータベース消費/物語なき地図/均質化・流動化した都市の表象/個人化から断片化へ
4‐2 シークエンス化
断片化を超えて/シームレスな世界/動かす地図とシークエンス化する世界/「まとまり」から「つながり」へ
4‐3 多層化
そして「重なり」へ/ダイブとジャンプ/レイヤーを生きる/「いま・ここ」の多層化/グーグルマップが拡張する現実

【第5章 グーグルマップの未来】
個人化・断片化を促すアーキテクチャ/移動の誘発/地図のある旅/地図のゲーム化/プラットフォームとしてのグーグルマップ/レイヤーの創作の可能性

ググる、という言葉がタイトルに使われている点に象徴されているかもしれないけれども、目次にも「ダイブとジャンプ」「レイヤーを生きる」など、学術書では使わないであろう、でも新書でこそありえる「今」の言葉を使って、この社会学者はグーグルマップと現代社会を説明してくれます。
や、まだ読んでないんですが(笑)

個人的に真っ先に読みたいのは、第3章の「個人化」。
グーグルマップにかぎらず、ウェブの世界はパーソナライズ化が進んでおり、僕がウェブ上で見る情報は、すべてパーソナライズドされたフィルターがかかっています。つまり、自分が見ている情報を相対化できないため、どの程度偏向されているのかわからないわけです。
なので、グーグルマップをはじめとするウェブは、どんどんパーソナライズ化が進んで、僕にとって、ある種の「最適化」がなされているわけだけど、その「最適化」から逃れる手段を持っておかないと、僕たちは、大いなる勘違いのなかで生きることにもなってしまうわけです。グーグルマップのパーソナライズ化の現状と功罪などについて言及されていると思われるので、ここ、読みたいところです。
もうひとつは、グーグルマップは僕にとって最適化されるベクトルで進化(変化)していっているけれども、逆に、僕たちこそが、グーグルマップやウェブにとって最適化されるよう「変化」させられていないだろうか、という点。まさに社会学的な命題にもなってくるだろうし、きっと、そのことはこの本の全編を貫いている主題にもなっていると思います。や、まだ読んでないんですが(笑)

というわけで、この本は、知り合いの学者さんが出したという以前に、なかなか「ソソる」本です。
今晩からでもページを開くと思います。

そうそう、僕関連でいうと、前述の「YesPa!」のみならず、なーんと、僕の実家が載った地図まで引用されてました。実家、バッチリ載ってます(笑)
この偶然はちょっと笑った(笑)

「グールグマップの社会学 - ググられる地図の正体 -」

そんな松岡さんの本、「グーグルマップの社会学 – ググられる地図の正体 -」について、7月発刊の「つひまぶ」にて、彼自身が自著紹介してくれています。
そちらも乞うご期待☆

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