『舛次 崇 静かなまなざし』

TJWKでもお世話になっている滝の茶屋のギャラリー・ファボリータのさとうちなみさんに教えていただいて、『舛次 崇 静かなまなざし』『富塚 純光 かたりべの記憶』の同時開催を見に、兵庫県立美術館のギャラリー棟へ。
舛次さんの作品が101点、富塚さんの作品が30点。
どちらも素晴らしいが、個人的に胸に迫ってきたのは、舛次さんの作品だ。
ハナから、舛次さんの作品を見たいと思い、会期初日の今日6月30日の朝一番に行った。
阪神タイガースの熱狂的なファンだという舛次さんなので、展示会冒頭に甲子園のスコアボードをモチーフにした作品も数点あったが、やっぱ、圧巻なのは、花瓶やそこに生けられた植物などの静物画。これが素晴らしい。
黒一色もしくはツートーンで描かれる舛次さんの作品では、ほとんどのモチーフがシルエットで描かれる。壺も瓶も植物も道具たちも、強い逆光のなかでできた影のように、質感を失い、そこに静かに佇んでいる。
まるで黒い塊だ。といって、死んでいるわけでも、無機質なわけでもない。
壺であれ瓶であれ植物であれ、ちゃんと息遣いを感じる。ただし、息を潜めている。
動物にいたっては、まるで新月の夜の行進だ。
開高健の造語に、「動機(モチーフ)」の対語としての「静機(キエチーフ)」という言葉があるが、舛次さんの作品は静機に満ちている、と表現するのがふさわしい気がする。舛次さんは内向的に主題を静かに見ていたのではないだろうか。
舛次さんは今年1月に夭折されたとのこと。
これだけの数の作品が一度に並ぶのは初めてだとのこと。
一度、お会いしたかったな。
※画像は、舛次さんの過去の個展の作品集やチラシから拝借しました。
※同時開催の『富塚 純光 かたりべの記憶』の感想は、またの機会に。
お二人の展示は7月6日(火)まで。
兵庫県立美術館 ギャラリー棟3階
10:00-18:00 月曜休館
入場無料

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