『Distance わたしの#stayhome日記』

ブックギャラリーポポタムさんで今日マチ子さんの『Distance わたしの#stayhome日記』が紹介されていて、これは手元におきたいなと思って、ポチった本。
2020年と2021年は、誰にとっても特別な年になった。
僕たちの世界から日常が消えたのか、僕たちは日常を変えたのか、あるいは日常から疎開して別の世界にたどり着いたのか、よくわからない。
よくわからないまま、僕は『つひまぶ コロナ禍号』をつくり、今日マチ子さんは毎日の風景を描き、SNS上で発表し続けた。
誰も外にいない東京。
あちこちで見かける休校中の子どもたち。
予定のなくなった町内掲示板。
KEEP OUTでグルグル巻きの公園の遊具。
閉めていても点けている店の軒先の提灯。
トイペとティッシュの山。踊らされたわたし。
ブルーインパルス。
20時の花火。
自分ばかりが不幸と思える日。
広告のない地下鉄のホーム。
動かない観覧車。
この先どうしよう、とか思ってしまう日。
持ち上げられて落とされて、どん底から見えるのは青空だけ。
おそろいのマスク。
ビニールの中の病院受付。
もしもし。
新しい生活様式で舞台に立つハローキティ。
秋まで何センチ?
一人でパフェを食べる。
この細い杖を希望と呼ぶことにして足をかけていく。
2020年4月の緊急事態宣言以降、ソーシャルディスタンスがあたりまえになっていく人々の様子や街の様子を、静かに、ていねいに、私的に、今日マチ子さんは描く。
風刺も批評もない。ただ、淡々と。
変わる世界にあって、変わらない風景がある。
変わらなければ、の大合唱の中で、変われない自分と変わってしまった自分がいる。
そのことを、きっと、僕はいつか思い出すのだと思う。そのときのために、僕は『つひまぶ コロナ禍号』とこの『Distance わたしの#stayhome日記』を手元に置いておこうと思う。

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