『東京人』のシティポップ特集

『東京人』を読む。
なんといっても、今をときめくシティ・ポップの特集が組まれているから。
松原みき、竹内まりあ、山下達郎らの日本のシティ・ポップの世界的な流行を受けて、『東京人』が特集を組んだのだ。これは大阪ではちょっと太刀打ちできない、まじで東京だからこそできた特集ですな。ちょっと羨ましいぞ。
特集タイトルに「70-80年代TOKYO」とある通り、渋谷系前史のアーバンミュージック・シーンの特集。端的に、フリッパーズ以前と言えばわかりやすいか。いや、わかりにくいか(笑)
松本隆、松任谷正隆、スカートの澤部のインタビュー記事、泉麻人と牧村憲一の対談と、この手の特集には欠かせないテッパンの人選のみならず、PANAMレーベルやCBSソニー、RVCの関係者などの音楽専門誌にすらそうそう登場しないようなマニアックな人選、音響ハウスなどのスタジオにまで目配せして、相当広いレンジでカバーしている、とても優れた特集。
青山通り沿いの梅窓院から外苑西通りに抜ける細い道の周辺は空襲で焼けて空き地が多くて…、と松本隆によるはっぴいえんど黎明期の「風街」あたりの曲が立ち上がってくる風景の話が一番おもしろかった!と素直に言えないほど幅広く目配せした特集で、まじで拍手を送りたくなる。唯一の不満は、僕が東京の地理に疎いゆえに、シティポップのさまざまな曲がどんなまちのどんな空気感のなかから立ち上がってきたのか、実感を持って知ることができない点くらいだろうか。でもこれ、『東京人』だからな。しょうがないよね。
「シティ・ポップ」ではなくて、「シティー・ミュージック」「シティー・ポップ」と、むかしは音引きの「シティー」だったと、そこに注目した論考は、時代の微妙なニュアンスの説明にトライしていて、意欲的だと思う。
もちろん、あたりまえのように、鈴木英人や永井博など、シティ・ポップをイメージづけたイラストレータにも目配せしてる。
まるまる一冊使って、こんな特集組めるのは、幸福以外の何者でないと思うぞ。マジで羨ましい。というか、ズルない?(笑)東京の文化資源の分厚さをまざまざと見せつけられてる。。
で、話はまったく変わるが、後ろの方で、「東京の小さな図書館」と題した、東京に点在する小さな私設図書館の案内記事が展開されている。読み進めていくと、大阪市で展開されている「ISまちライブラリー」が東京に飛び火しているということがわかり、ちょっと嬉しかった。図書館は本が主役だけど、まちライブラリーは居場所としての機能を大切にしている点で、図書館とは違う。そういうことをきちんと押さえたうえで、大阪発のまちライブラリーが東京で展開されていることを知り、ニヤニヤしながら読んでいました。そう、そこは大阪発信なのだ☆
『東京人』は滅多に買わないんだけど、これは買ってよかった。

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