『その街のこども』@七藝

十三の七藝へ。あ、シアターセブンのほう。
毎年この時期になると、映画『その街のこども』を上映してくれる。
実際に神戸で被災した森山未來と佐藤江梨子が主演を務め、震災から15年後の夜を舞台に、神戸と御影を往復するロードムービー。
この映画は、生き残った者たちが背負う荷物の重みを、一歩一歩噛みしめながら街を歩く二人を見守る、夜の街の物語だ。死者たちの眼差しもあたたかい。
数年前にDVDをもらったので、わざわざ映画館に行く必要もないのだけれど、この時期、思い立ったら見に行っている。
震災から25年が経ち、この映画がつくられてから10年が経ち、今もこの時期に上映されるという事実に、頭が下がる。少ないながらも、今もこの映画を見に足を運ぶ人がいるのだという光景を見るにつけ、心にさざ波が立つ。
あらゆる出来事は風化するし、忘却される。また、そうでなければヒトは生きていけない。
でも、息遣いを忘れてはいけないのだと、この映画は語っている。彼ら彼女らはそこにいたし、笑っていたし、怒っていた。それらは一瞬にして消えたけれども、消えたからこそ思い続ける。
二人は、一瞬、バックミラーを見遣るかのように過酷な記憶を見つめる。前へと進むために。祝福する街。朝。朝の光。何度見ても、心が動く。

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