『奈良へ』

気合の入った解説は町田康で、装丁はあの「群像」を大幅にリニューアルさせた川名潤である。で、版元はリイド社。
読め!と言わんばかりのラインナップも手伝い、もろに「ガロ」やし、もろにつげ義春なんやけど、サムネイルから伝わってくる画力の異様なリキなども感じつつ、カートに。

売れない漫画家、マイルドヤンキー、パンクス、やる気のない野球部員、冒険のパーティーからそこはかとなくハブられている航海士、街頭で奈良の崩壊を訴える謎の男……名所旧跡で繰り広げられる若者たちの群像劇は、やがて人間の業を深々とえぐり出し、世界の虚を暴き出す衝撃の展開へーー

第1話 西大寺
第2話 東大寺
第3話 法隆寺
第4話 唐招提寺
第5話 飛鳥寺
第6話 興福寺
第7〜10話 ドリームランド
第11話 平城宮跡
第12話 猿沢池

ちょっと言葉が出ないし、そもそも町田康の解説が強すぎてしゃーないのだけれども、とにかく、作者の大山海の分身と思われる小山陸の生きる現実の東京と、そこから逃れて戻ってきた故郷の奈良と、現実の中に登場するファンタジーとしての大仏マンと、小山陸が作り出す完全ファンタジーの異世界ドリームランドがぐちゃぐちゃに絡まりつつ、最後にはわけのわからぬままに大円団というか、まがりなりにもひとつの円が閉じる。

どこに行っても上手く生きられない魂は、異世界をまたいで最後には奈良に集結する。
逃れられない、という意味において、帯にあるように、「リアリズム漫画」の最前線である。

本文内の画像はネットから。

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