1.17の夜

誕生日のお祝いメッセージをたくさんいただきました。
ありがとうございます。
全員の方にお返事することができないので、この場で謝意を述べることをお許しください。

昨夜、16日の夜9時から、天満から三宮に向けて、2号線を、延々と、一人で歩いてました。三宮の東遊園地に着いたのが朝5時だったので、計8時間、途中30分だけファミレスで休憩したけど、あとは、ずーっと歩いてました。あとで調べてみたら、35kmの道のりでした。

18年前のこの日。
もちろん誕生日どころではなく、神戸にいた何人もの外国人の知り合いを助けに、三宮へ向かってました。
当時、僕が住んでいたのは豊中で、揺れはまともで、部屋のなかはグチャグチャになったけど、建物に損傷はなく、ライフラインも何事もなく、比較的軽微な被害で済みました。だから、三宮へ向かったのでした。
助手席に乗って、あたりまえだけど、車で三宮に向かったのですね。
でも、車を走らせることができたのは、尼崎まででした。そっから先、道はない、車とバイクとチャリと人が混在してカオス状態になっている…。
運転手だけを車に残して、僕ら数人は、そこから三宮まで歩きました。
どれくらい歩いただろう。
朝に出発したのだけれども、三宮に着いたときは、とっぷりと日が暮れていました。そして、寒くてね。
あのとき、電話回線がパンク寸前で、全然繋がらなかったですね。でも、国際電話が比較的繋がっていて、僕たちは、香港の友人に中継ベースになってもらって、そこに伝言を託けるかたちで、連絡を取り合っていました。
その日から、何度か、神戸と大阪を往復しました。とにかく移動にすごい時間がかかって、大阪にも神戸にも、着くのは夜です。 そう、夜。
僕にとって、神戸とは、夜の、真っ暗闇のイメージが、あの日以来、こびりついています。

何年か前に、TV映画「その街のこども」を見ました。
脚本の渡辺あや、主演の森山未來、佐藤江梨子ら、実際に震災を体験しているキャスト&スタッフが多く参加し、震災時に子どもだった人たちと、復興した神戸で暮らす人々の現在を描いた作品です。

ストーリーを公式サイト(http://sonomachi.com/)から抜粋します。
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こどものころに震災を体験し、今は東京で暮らす勇治(森山未來)と美夏(佐藤江梨子)。彼らは「追悼のつどい」が行なわれる前日に神戸で偶然知り合い、震災15年目の朝を迎えるまでの時間を、共に過ごすことになる。震災が残した心の傷に向き合うため、今年こそ「追悼のつどい」に参加すると心に決めていた美夏に対し、出張の途中に、なんとなく、神戸に降り立っただけだと言い張る勇治。まったく異なる震災体験をしたふたりの間には、大きな溝が広がっているように見えたしかし、ある場所に差し掛かったとき、美夏は勇治が長年抱え込んできた過去を垣間見ることになる。復興を遂げた真夜中の神戸の街を背に、これまで語ることのできなかったふたりの想いが、不器用に溢れ出そうとしていた。。。。 —————————————————————

この作品のいいところは、
こどものころに体験した震災というものにあらためて向き合おうとする、現在進行形の若者にスポットが当たっていたことです。
傷が癒えていないとか、そういうことじゃない。傷と共存し、なおかつ前に向いていこうとする、その格闘の姿です。淡々とではあるけれども、その描かれかたが、とてもよかった。
震災が発生した時刻、5時46分に東遊園地で行なわれたキャンドル・ナイトに向かうところがラストシーンで、ここが感動的によかったですね。ドラマチックではないけれども、込み上げてくるものが抑えられなくて、涙が出たな。大友良英さんの音楽もすごくよくて、大友良英さん自身がtwitterで、感動した!ってつぶやいてて。。。
夜の三宮と御影を往復するこのロードムービーは、言うまでもなく、夜の神戸の町並みをそのまんま映し出してます。

夜の神戸。
震災からこっち、神戸といえば、夜のイメージしかない。
みんなで知り合いの人たちを迎えに行ったとき、朝に大阪を出たのに、神戸に着いたのは真っ暗な夜でした。
そこで知り合った長田の人たち、ウチナンチューや在日コリアンの人たちと仮設を掃除したり家具を運び込んだりしたのも、どういうわけか夜だった。
ソウルフラワーの別働隊、モノノケサミットが長田神社で演奏会をやったのも、篝火をたいた夜でした。
月が出ていたり、雪が舞っていたり…。
そのあと、オジィやオバァを連れてルミナリエに行くようになったけれども、これももちろん、夜。

今回、あの夜を、もう一度歩いてみようと思ったのでした。
梅田の国道1号線と国道2号線がはじまる「大阪市道路元標」をスタート地点にして、国道2号線を、三宮まで歩いてみよう、と。鎮魂と、この18年間を思い返してみよう、と。
歩いていて、思い出す光景、覚えている光景、曖昧にボヤけてしまっている光景、忘れてしまっているもの…、たくさんのモノやコトがあって、18年という時間が経ったのだなあという感慨と、やっぱり、こみ上げてくる抑えられないものも、ありましたね。
あのとき、尼崎から歩いた道を、今回は梅田から歩いたのでした。

あのときと違って、平和な道です。でも、年も18年分、確実にとってる。
足は、悲鳴をあげましたです。 歩き通しだから、ちっとも寒くないんです。でも、膝、足首、ふくらはぎ、足の指。いたるところにダメージを負いましたわ。水ぶくれ、筋肉痛、血豆、爪はがれ…。普段、ほとんどの時間をPC前で過ごしてるツケですわ。
でもね、twitterがね。
あのときは数人で歩いたけど、連絡がつかない不安があったんです。
今回は、一人で歩いたけれども、twitterでたくさんの人が常に励ましてくれていたから、不安も孤独も、これっぽっちもなかったです。
さらに、twitterのおかげで、みかりんさんとラスト3kmで合流するという邂逅まであったんです。

歩いているあいだじゅう、あのときにtwitterがあったらなあ、って、ずっと思ってました。
コミュニケーションのツールが進化するって、こういうことなんやな、と、あらためて思いましたです。
うん。世界は、きっと、いい方向に進んでる。紆余曲折があっても、ほんの少しずつであっても、いい方向に進んでます。そう確信することが、僕にはできます。
そんなことを、考えていました。
写真は、時系列に並べてます。
よろしければ、どうぞ最初からご覧ください。

今年一年が、みなさまにとって素敵な年でありますように。

1.17の夜

1.17の夜

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1.17の夜

東遊園地

神戸市中央区加納町6-4-1

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