つひまぶ11月号「災害史号」をドロップしました

つひまぶ
11月号「災害史号」をドロップしました。

ぼちぼち南海トラフが暴れるよ!大阪も危ないよ!と言われている昨今、春には熊本地震が起きました。
先日は、ニュージーランドが大きく揺れました。
災害は身近にあって、大阪市や北区でも、さまざまな防災対策がとられています。各地域では防災マップがつくられ、防災に対する意識は高まってきているように思えます。

そういう高まりを受けて、つひまぶでもなにかできないだろうかと考えたのが発端でした。
行政からの刊行物や、行政の主導で地域がつくる防災計画やハザードマップも数多く目を通してみて、そこには「自助」や「共助」を意識した、つながりを感じるものもあるし、科学的な知見に基づくものもたくさんあります。

ただ、なんというか、たとえば戦争のあとには戦争文学がたくさん生まれるように、災害のあとにはマスメディアでたくさんのドキュメンタリーがつくられるように、人の顔が見えるものが、防災計画やハザードマップにはないように思えるのです。防災計画やハザードマップにはそのようなものは必要ないのかもしれませんが、「防災」という括りのなかに、人の顔が見えるものがあってもいいんじゃなかろうか、という思いが、僕のなかに、なんとなくありました。

人や人の顔の見えるものなら、つひまぶは得意です。
わりと、ボヤッとしたところからはじまった企画ではあるのですが、そのあたりに軸足を置きながら、今号の特集をつくっていきました。

巻頭では、約150年前に起こった「安政大地震」のときに発行されたかわら版を紹介しています。
この地震もまた南海トラフが引き起こした地震で、南海トラフは約150年周期で地震を引き起こしていることから、ぼちぼち動くと言われています。となると、この「安政大地震」を知っておくことは、悪いことではありません。
瓦版を分析すると、災害直後は、箇条書きの情報が羅列された速報集の体をとったものが発行されます。スピード勝負の発行物です。
その後、地図で被害状況が表されたものが発行され、自分の地域における被害の全体像が見えてきます。
やがて、全国に飛ばした飛脚がもたらした情報がまとめられ、この安政大地震が全国規模の大災害であることが伝えられます。
この時点では、箇条書きのヘッドラインニュース集から、ひとかたまりの文章になったルポルタージュの体裁をとりはじめます。見たものをテキストにしたものから、聞き取りがおこなわれたテキストにも変容してきます。
最後には、過去の災害が紹介され、そこから教訓が導き出され、保存版のパンフレットのようになっていきます。
かわら版を発行する側の人間の目で、どのような工夫がほどこされ、何を残そうとしたのかを、追っていきました。

その次は、
約100年前にキタを焼き尽くした「キタの大火」を。火事のこわさを今一度お伝えできたらな、と。
同時に、「津波・高潮ステーション」の紹介と、北区でもその恐れがある水害について、紹介しています。

昨今の大災害ではgoogleをはじめとするポータルサイトが集合知を駆使して、さまざまな災害情報の伝達をおこなっています。集合知なので、ベースになっているのは、数多くの人による、「人力」です。テクノロジーを使うことで、多くの人の力を結集しやすくなった今、さまざまな情報が提供されていることを、地図学者・松岡さんが紹介しています。

水防技術専門家、神社、水防碑、上町断層…、身近な「災害の跡」の紹介も。先人たちは、さまざまな場所で、教訓を残してくれています。

熊本地震や東日本大震災の避難所や仮設住宅で活躍する人たちはどんな人たちなのか。
そんな人たちにもお話を聞きました。
裏方さんたちが大活躍する様子を、ぜひご覧ください。

今号は、いつも以上にテキスト量の多い号となりましたが、実際的に役に立つ情報は、あまりありません。そうではなく、この号をきっかけに、防災に目を向け、地域の防災計画やハザードマップにたどり着いていただけたらなあ、なんてことを考えながら、つくりました。

北区役所や北区民センター、大淀コミュニティセンターほか、さまざまな場所に置いています。
配布リストは、このブログのサイドバーをご覧あれ。

PDFもあります。
https://drive.google.com/file/d/0B9lKQnZGjMjJNG5CaFRFYTVmLUk/view?usp=sharing

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