『世界のはじまり』

『世界のはじまり』バッシュ・シャーム/ギーター・ヴォルフ 訳/青木恵都
今月、めでたく日本語版が重版☆ 今やと正価で買えます。タラブックス+タムラ堂の黄金コンビで、中央インドのゴンド民族のトライバルアートを元につくられて、ハンドメイドなため息ものの美しさは言わずもがな。
ゴンド族の伝説と宇宙神話が描かれていて、その世界観は、口承文学を絵画に定着させたとのことだけど、まったく飽きさせませんな。
創造主が息吹を吹き込み大気が誕生した瞬間は、青いカラスが渦を描きながら飛び交う様が描かれている。
泥があらわれ、命のゆりかごが生まれたとき、同じくあらわれたのはミミズだった。
時の成立は、月と太陽、夜と昼とで表現されている。
時の巡り…、季節を表現するのは、トンボの群れだ。最も繊細なタイムキーパーが昆虫だと、ゴンド族は神話で語っている。
時が満ちると種がほころび、奇跡が起こることで、命が出現する。聖なる種は、植物にあると捉えられている。
創造主は、白、黒、黄、赤、さらに緑の色を泥に与えて、芸術を誕生させた。
最後は、死と再生。このふたつは、合わせ鏡のようで、ふたつは切り離すことができない。
ゴンド族の創生神話は、具象に溢れていて、僕たち日本人の八百万ととても相性がいいように思う。

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