Luis presents! DEEP KYOTO 2004 all right reserved
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和のかたち編

紫織庵 紫織庵
所在地:京都市中区新町通六角入ル HP:http://www.shiorian.gr.jp/
電話:075-241-0215
営業時間:10:00-17:00(要予約) 入館料:500円
失われつつある伝統を今に伝える長襦袢
白やピンクなど無地のものが主流のなか、華やかで遊び心に溢れ、さりげないお洒落を楽しめるのが紫織庵の長襦袢。二階の大広間にある「長襦袢友禅資料室」では、明治から昭和初期を中心に、錦紗織や紋倫子ちりめんなど色鮮やかな長襦袢や下絵を間近に見ることが出来る。絹織物が高価だったため、着古した着物や余り裂を継ぎ合わせていた江戸後期。また、日本の伝統柄と洋花を組み合わせるなど、モダンなデザインや柄が生まれた明治・大正期。一枚ずつが当時の流行や文化を語る時代絵巻のような美しさを誇っている。大正5年に建てられた伝統的な京町家に、ライト様式の洋間を取り入れた大正ロマンの香り漂う館内には、新しい感性と歴史が織り成す京文化の集大成が息づいている。

並河靖之七宝記念館 並河靖之七宝記念館
所在地:京都市東山区三条通北裏白川筋東入堀池町338 HP;http://www8.plala.or.jp/nayspo/
電話:075-752-3277
営業時間:10:00-16:30 定休日:月・木曜(祝日の場合は翌日休) 入館料: 600円
手間と暇と贅を尽くしたジャパニーズアートの世界
明治・大正期に活躍した七宝家、並河靖之は、七宝の美しさに惚れ込み、青蓮院宮の侍臣をつとめながら、独自の七宝の技術を完成させた人物。その繊細な美しさから、国内のみならず海外で特に高い評価を受けた。
ここで展示されているものは、130点余のなかの一部だが、細く細かい金属線で色彩を区切る有線七宝と呼ばれる技法で生み出された作品は、花鳥風月ばかりでなく日本各地の名所までがじつに精緻に再現され、まるで絵筆で描かれたかのようである。日本への深い愛情とともに七宝に対する高い美意識が、100年以上経った現在でもひしひしと伝わってくるようである。
館蔵品とともに、七代目小川治兵衛による庭園と明治27年竣工の建物もじっくりと見学を。池に張り出した座敷にたたずみ、疏水から流れる水音に耳を傾ければ、文明開化とともに見聞をひろめた当時の人々の活力と京都の美しさに対する先人の誇りが感じられる。

京菓子資料館 京菓子資料館
所在地:京都市上京区烏丸通上立売上ル HP;http://www.kyogashi.co.jp/guild.html
電話:075-432-3101
営業時間:10:00-17:00 定休日:水曜 入館料:無料
四季や和歌が込められた雅な京菓子の世界
その昔、和菓子といえば完全オーダーメイドが主流だった。いつどこで誰が食するのかを考えて、職人がかたちにしていたのである。京菓子であるための条件は五つ。味がよい、柔らかな食感、滑らかな舌触り、時節の行事や風物詩を映す美しく象徴的な姿、百人一首や万葉集などの和歌や謳いに由来する菓銘。京菓子は京都人が客人をもてなす心そのものであり、その小さな姿のなかに京都の文化や歴史を表現している。そうした、優雅で奥深い京菓子の世界を知ることが出来るのが、この資料館。宝暦5年 (1755年) 創業で、京都御所御用達でもある『俵屋吉富』が創設した資料館である。日本のお菓子の頂点である京菓子の伝統を継承するために建てられ、俵屋吉富が所蔵する京菓子についての文献や古文書、道具類など約50点を見ることが出来る。見学のあと、出来立てのお菓子と抹茶を頂けるのも嬉しい。

田村資料館 田村資料館
所在地:京都府綴喜郡宇治田原町大字郷之口小字宇治山12
電話:0774-88-3855
営業時間:10:00-17:00 定休日:火曜(3月末-5月末、9月中旬-11月末のみ開館) 入館料:500円
装飾品が語る女性たちの美への思い
宇治川の上流、茶畑がひろがる静かな宇治田原町に、江戸時代を中心とした女性の衣装、調度・装飾品を展示している資料館がある。
展示品は、この町で主婦をしていた故田村妓都子さんが、「遠い昔、おなじ国に生きていた女性たちがどんな気持ちで自らを着飾ったのか;と思いを巡らせて収集したもの。着物、化粧箱、鏡、香炉のほか、櫛とかんざしの使い方を実際に示した時代カツラも100点ほどある。江戸時代につくられた装飾品は、日本人の技巧の高さを示しており、世界に類を見ないほど贅を尽くしたものばかりである。蒔絵や真珠のような光を放つ貝を用いた螺鈿の華麗な髪飾りや、能や芸能をテーマに絢爛たる刺繍が施された着物など、どれも目を見張るほどに美しく、凛とした気品がある。
いつの世も変わらない女性の美への憧れと執念。持ち主である女性たちの面影に、イマジネーションがかき立てられる。

雅楽器博物館 雅楽器博物館
所在地:京都市中京区西小路通御池上る二筋目西入ル角 HP:http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/index.html
電話:075-802-2505
営業時間:10:00-17:00(電話かハガキで要予約) 入館料:700円
心に染み入る伝統楽器の調べ
古くは宮廷音楽として栄え、今でも神社の奉納に奏でられる雅楽。けれども、この世界の第一人者である雅楽器師、山田全一さんに言わせれば、「音楽芸能は遊び心がないとあかん」とのことだ。格式にとらわれないお人柄から飛び出す笛の音は、すましかえった印象とはほど遠い伸びやかな迫力である。自然の風や光と戯れるような、優しくも激しい鮮やかな音色だ。
ここは山田さん宅の二階に開かれた、世界で唯一の雅楽器だけの博物館。笙、ひちりき、横笛、琴や鼓など雅楽のすべてが並んでいる。山田さんのお話を目当てに何度も足を運ぶ人も多いとか。 心の襞や文化はもちろん、その構造は自然科学や医学に通じるという雅楽器にまつわる壮大で含蓄のあるお話が聞ける。職人として、演奏家として、長い経験と深い知識を積み上げてきた山田さんのお話がついた博物館は、かなりの値打ちもの。

友禅美術館 古代友禅苑 友禅美術館 古代友禅苑
所在地:京都市下京区高辻通猪熊西入る十文字町668 HP:http://www.kodaiyuzen.co.jp/index2.html
電話:075-823-0500
営業時間:9:00-17:00 定休日:年末年始 入館料:500円
優美な京友禅の世界にたっぷりと浸る
町中に突然現れる、しっとりとした竹林に包まれて建つ館。旅館か料亭かと見まがうこの建物は、京友禅のすべてが詰まった美術館だ。
製作日数は10年以上、総費用は数千万円という江戸小袖の復元品をはじめ、200点余の着物や絵巻染めが展示され、館内はかなり華やいだ雰囲気。近ごろのアンティーク着物の人気もあって、着物の美しさを再発見する人も多いなか、本物の京友禅に出会える場所として人気を誇っている。染め工房や着付けといった体験コーナーもあり、たっぷりと1日かけて過ごすことが出来るほど、施設は充実している。

宇治上林記念館 宇治上林記念館
所在地:京都府宇治市宇治妙楽38 HP:http://www.big.or.jp/%7Eteapot/member/kanbayashi/index.html
電話:0774-22-2513
営業時間:10:00-16:00 定休日:金曜 入館料:200円
秀吉も愛した宇治の銘茶を訪ねる
宇治川のほど近く、風格のある門が目印の宇治上林記念館。上林春松家は、江戸時代、幕府から茶頭取を任命された家柄で、お茶の里・宇治でもひときわ長い歴史を持つ老舗である。ここには江戸時代に使われていた看板や、幕府から茶壺を預かっていることの印だった燈籠、お茶壺道中に使われた壷といった由緒ある品々をはじめ、明治時代に使われた製茶道具が数多く展示されている。
なかでも秀吉から賜ったという書状は一読の価値がある。献上されたお茶に対して秀吉が苦言を呈しているものだが、文章からは茶を愛した秀吉の人柄が浮かび上がってくる。
館主は十四代目の上林春松さん。お茶の歴史を訪ねたあとは、宇治市が開席するお茶席『対鳳庵』で抹茶を頂いて、茶の湯の歴史を思い浮かべながら町を歩く、というのもいいかも。

安達くみひも館 安達くみひも館
所在地:京都市上京区出水通烏丸西入ル安達徳株式会社3F http://www.yo-ki.net/adachikumihimokan/
電話:075-4362-4113
営業時間:9:00-16:00 定休日:日、祝、第2・3・4土曜 入館料:500円
色糸が織りなす鮮やかな職人技
ここで展示されているものは京都の伝統工芸のひとつ、組紐の歴史だ。着物の帯締めとして知られる組紐だが、その技術は奈良時代に伝わったとされ、能面の紐、刀を腰につけるときの装飾品や、袋の封をするためなど、広い用途で使われてきた。しかし、着物は残しても紐まで残していない人が多く、そのために記録も技も残らずに今では誰もつくることが出来ないものもあるほどだ。
糸を交互に重ねて出来上がっていく同じ工程でも、角台や丸台など、台の種類によって違うものが出来るのも、組紐の面白さのひとつで、ここでは、台ごとの工程を見せてもらうことが出来る。なかでも、唐組台と、それを使いこなした最後の名工、人間国宝・故深見重助氏の作品は必見。厳島神社に奉納した「平家納経之緒」の見本からは、最高峰のくみひもが見せる美しさが伝わってくる。

美山かやぶき美術館 美山かやぶき美術館
所在地:京都府北桑田郡美山町大字島
電話:0771-75-5100
営業時間:10:00-16:30 定休日:月曜(12月-3月は、土・日・祝日のみ営業) 入館料:500円
かやぶきの里で味わうスローな時間
京都市内から周山街道を通り、車でいくつもの山を越えて、美山までは約1時間半の道のりになるだろうか。近づくに連れて、日本の原風景とも言えそうな、のどかな山里がひろがっている。赤い橋を渡ると、美山かやぶき美術館が見えてくる。
ひと昔前までは庄屋さんだったというだけに、その建物はどっしりと村を見渡すような存在感で迎えてくれる。内部は、地肌もあらわな土間があり、どこか懐かしい匂いがする。
ここでは高い天井と立派な太い梁の空間を生かし、年に数回、絵画や書などの美術展が開かれている。広い敷地には美山の文化を伝える郷土資料館も併設されている。林業を生業としたこの地域ならではの農具や日常雑貨などが保存されていて、かつての厳しい山の暮らしを伝えている。館内には不思議なことに水琴窟も埋められており、澄んだ音色とともに山里の暮らしを満喫出来る美術館となっている。

京都お箸の文化資料館 京都お箸の文化資料館
所在地:京都市山科区御陵天徳町29
電話:075-595-0919
営業時間:10:00-16:00 定休日:火曜(祝日の場合は翌日休み) 入館料:無料
話の種に事欠かない、お箸にまつわる食の文化史
こじんまりとした資料館に足を踏み入れれば、500に及ぶ箸。そのなかには、2m以上のギネス級のお箸もある。お箸と食文化を研究して50年近くになる副館長の井津秋楽さんのユーモアたっぷりの解説は、箸の手作り体験講座とともに、この資料館の目玉的存在だ。展示品は、螺鈿や象眼に塗りなど職人の技術力がうかがえる箸もあれば、貴人が毒味に使った銀の箸、天皇家御用達しの箸など、切り口はさまざま。それぞれが壮大な文化史を背景に持ち、エピソードは尽きない。

大西清右衛門美術館 大西清右衛門美術館
所在地:京都市中京区三条通新町西入る釜座町18-1 HP:http://www.ipc.kit.ac.jp/~siryokan/
電話:075-221-2881
営業時間:10:00-16:30 定休日:月曜(祝日の場合は翌日休み) 入館料:700円
静謐な空間のなか、渋い光を放つ京釜
中京区釜座町。この地名の通り、ここ三条釜座は平安時代から続く由緒ある鋳物の町。茶の湯に欠かせない伝統工芸、京釜の発祥の地でもあり、この大西家は明治維新をくぐり抜けてここに現存する唯一の釜師である。
展示室では、茶の湯釜の逸品や製造工程のビデオ、道具の数々がすべて公開されている。釜は、日本のすべての工芸品のなかでも装飾工程の複雑さが随一で、それだけに見どころが多い。じっくりと向き合ううちに、精緻な文様や丸みのなかの力強さ、わずかな変遷の様子がわかってくる。普段、なかなか間近に接する機会の少ない茶の湯釜の美に、歴史に粋を発見出来るかも知れない。

日本髪資料館 日本髪資料館
所在地:京都市東山区大和大路通通四条上ル白川ビル2F HP:http://www.shimadzu.co.jp/forest/jindex.html
電話:075-551-9071
営業時間:10:00-17:00 定休日:水曜 入館料:600円
古人の流行がわかる日本髪の殿堂
舞妓さんや芸妓さんの姿もしばしば見られる祇園は白川沿いの美容室『やまと』。伝統ある京都でも、太夫の髪を結えるのはこの人だけという髪結師、石原哲男さんのお店に、日本髪資料館はある。日本髪の優美な魅力に一般の人も親しんでほしいと、この資料館が出来たのは2001年のこと。小さなショールームのような館内には、豆カツラという日本髪のミニチュアが115点。そして江戸時代の櫛やかんざしなど240点近い髪飾りが展示されている。
この資料館のもうひとつの楽しみは、カツラではなく自分の髪で日本髪を結う、舞妓の体験が出来ること。ひとくちに日本髪と言って、古くは古墳時代のものから並び、そのかたちはさまざま。ファッションとしての移り変わりが楽しめる、興味深い展示となっている。

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