つひまぶ vol.18「つながる号」

僕は毎年大淀中学校に呼ばれてデザインの授業をやっているのですが、先生稼業なんて得意じゃないのになんで引き受けているのかと言うと、僕も上の世代の人たちからデザインについて教わってきたし、そうやって一人前にもしてもらったので、請われる場面があるのなら、そうやって次の世代に送っていかなあかんやろなーという気が、少しはあるからです。
受けた恩を返すのも大切だけど、受けた恩を次の人に送っていくほうが、今流行りの言葉で言えば、「サスティナブル」でいいなと思っています。そのほうが循環するし、継続するしね。
そんなことを編集会議でチラと言ったような言わないような、あんまり覚えてないけれども、そんなところから、この号の特集はつくられはじめました。
僕は当初はまったく違う案を会議に持ってきたものの、見事にボツ案にされてしまい、いろいろ揉んでいくなかで、伝統とか繋いでいくとか継承するとか、そういうものを特集しようということになりました。コロナ禍が続くなかで、生き延びることそのものが大きな命題になってもきているしね。
会社経営において、親から子へ社長を譲るとき、譲るほうはなにを思い、譲られるほうはなにを背負うんだろうか。
健康問題などさまざまな要因でお店の営業が難しくなったとき、誰かが手を挙げて店を継いでくれたら、譲るほうも譲られるほうもwin-winの関係でやれるような仕組みがあれば、店は続けていきやすいですね。そういう、「譲り店」の仕組みが、中崎町にはあります。
ほか、味と経営のふたつがなければ「暖簾」は続いてはいかないけれども、そのへんの具体的なことって、どんなだろう? って、格好の教材が、松屋町から天神橋に暖簾を移した大阪寿司の名店がありました。
さらには、神戸の西村珈琲の味が中津で引き継がれている例なども。
建築だってそうで、最近では、ビルの建て替えに際して、かつてのビルの一部を残すことで、面影や記憶を継承する動きがあります。今、工事が進んでいる中央郵便局の建て替えも、その一例です。
コラムは特集とは関係ないんだけど、
手みやげで取り上げた、先の大阪サミットのお茶請けにも選ばれた「浪速育 松月」さんのトラ焼も、浪速銘菓の火を絶やすまいとの思いからつくられた商品です。
mapコラムでは西天満の老舗鰻屋さん「志津可」さんの包装紙。天神祭の渡御の様子が描かれていて、店主の原風景でもある、店から見える天神祭の渡御の風景が描かれた包装紙を取り上げています。
駅探コラムでは、阪急の大阪梅田駅の発車メロディを。ここでも、耳から伝える心遣いが阪急の伝統のひとつなんだということが紐解かれています。
最後には、上方初の外国人女性講談師である旭堂南春さんにご登場願いました。日本人も真っ青の、「日本の歴史の達人」が、僕たちに「日本の歴史」を教えてくれようと奮闘されている姿は、感動的ですらあります。
こうやって書き出してみると、今号「つなげる号」の裏テーマは「サスティナブル」ですね。
会社であれ何某かの団体であれ、運営していると、続けるってことはほんまに難しい!ってのが身に沁みます。
だからこそ、人が変わっても続いていく仕組みや続けられる秘訣なんかを知りたくなります。
SDG’sには何の興味もないけれども、続ける、ということには苦労しているので興味はあります。
そういう5月号(vol.18)です。
北区役所、コミュニティセンター、いくつかの本屋さんなどで入手可能です。
ぜひぜひ、お手にとってご高覧を。
配架場所リスト&PDF版は、HPからどうぞー☆

つひまぶ
キタを愛する人たちのための、キタを再発見するマガジン。ネットに載らない情報テンコ盛り。

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