マチソワでの本を紹介する会に来られた(僕の仏像トークにも来られたことがある)八幡一男さんの『郡是 創業者 波多野鶴吉』を読む。
あのグンゼ株式会社の創業者の評伝だ。
国の方針である国是、会社の方針である社是のように、創業地の何鹿郡(現・京都府綾部市)の地場産業である蚕糸業を、郡(地域)を挙げて振興・推進していくことが郡(何鹿郡)の急務であり「郡是」であるとの考えが、社名には込められている。
波多野鶴吉の生涯は、山もありすぎ、谷もありすぎて、ジェットコースターのような生涯だ。
若い時分に放蕩し、失敗もし、そのせいで悪評も立った鶴吉だが、人の助けがあり、自身の覚醒があり、再起を成し、養蚕業に身を投じ、「郡是」を創業するまでになった。
その郡是にも危機が訪れたが、鶴吉の培ってきた人生観にしたがってきた経営姿勢が、結果として郡是を救った。
人との出会いがあり、意見の相違があり、助け合いがある。
ヒトの顔が見えるのが、郡是や鶴吉を取り巻く物語で、だから惹きつけられる。
そして、演劇になり得るのだろう。
今年の11月2日、波多野鶴吉とその妻・葉那の物語が上演されます。
ネタバレになるので、この評伝の内容にはこれ以上触れないけれども、物語としてとってもおもしろい。
八幡さんは、埋もれていた物語を丹念に拾い集め、掘り下げた。地道な、しかし意味のある仕事ですな。



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