今年も、滋賀は湖東の日野町「ひなまつり紀行」へ。
この時期、日野の家々では雛人形を飾り、通りを歩く人々は通りから家のなかの雛人形を眺めながら歩けるようになっていて、まち全体で「ひなまつり」を感じることができる。
日野のまちなかには、近江日野商人が残した屋敷や町屋が軒を連ねており、それぞれの家には、江戸時代に日野近江商人が買い求めた雛人形がたくさんある。
江戸時代に行商から身を起こした日野近江商人たちは、成功すると、行商先の各地に店(たな)をいくつも出した。主に北関東各地に支店を出し、一時は全国に700ほどの大店があったとか。
そしてお盆や正月、ふるさとの日野に帰るときには、江戸方面で流行していた高価なお雛さまをお土産として持ち帰った。これが今も家々に残っているのだ。
それらが一斉に飾られる。雛人形なので家の中の座敷に飾られそうなものだが、このときばかりは、部屋から外に向けて飾られ、外を歩く人が、外から雛人形を眺められるようになっている。
日野には850年以上の伝統を誇る湖東随一のお祭り「日野祭」がある。大きな曳山が16基、道道を練り歩く。このお祭りを家の座敷から見物するため、通りに面した板塀には窓が切られている。これが桟敷窓。
家の中から外を眺めるために切られた桟敷窓を、「ひなまつり紀行」では逆に使い、外から中を眺められるようにしてあるというわけだ。
この「ひなまつり紀行」は古くからある伝統行事ではなく、まちおこしの一環として2008年に誕生したとのこと。
このイベントが素晴らしいのは、雛人形がない家は、紙や布でつくったオリジナルの雛人形をつくって、それを飾ることで参加している点。
2/3以上の家々が参加しているのではないか?と思わせるくらい、たくさんの家が参加して、このイベントができている点が、とてつもなく素晴らしいと思う。観光客が外から自分の家の中を覗くのだから、イヤがる家もあるはずだけれども、どうやって説得しているのか教えてほしいほど、たくさんの家が参加されている。
なんだかんだで、今回で5度目の「ひなまつり紀行」の訪問となった。
今年は、手作りこんにゃくや手作り味噌をつくってくれる古道さんはじめ、日野の人たち(生きる達人ばっかりなのだ!)ともすっかり仲良くなった。
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