『生活史の方法』岸政彦。
読了。
あの『大阪の生活史』を編んだ岸さんの、生活史を聞いて原稿を書いて本にするまでの手引書。
生活史とはなんぞや?ってところから、社会学における生活史の意味などもさることながら、おもろいのは、お礼の手土産からアポの取り方まで、名刺をどうするかとか、録音についてや文字起こしでAIをどう使うかなど、細かなマニュアルが載っているのが、いい。
手みやげやアポのためのツールは何がいいかなど、そんなことに言及している本は、おそらくない。だからこそ、そこがいい。
もちろん、インタビュー時に自分のことを話すか、差別言葉をどう扱うか、なども細かく書かれている。
で、そのほとんどの結論は、「私はこういうやり方が多いが、結局のところはケースバイケース」という結びになっているところも、岸さんらしい謙虚さというか慎重さというか、そこもいい。
その慎重さ謙虚さは、人の一生を聞くということは、「暴力だ」という、岸さんの心映えにつながっていく。
岸さんの一番素敵なところは、この、慎重さと謙虚さだと、ワシは常々思っている。
インタビューとは、人の心にドカドカと土足で入っていく行為でもあるし、分かった気になる傲慢な瞬間もあるのだから。
ワシ自身も、取材時によくよく心掛けていることでもある。
分かった気になるのが、一番怖い。そして、取材のためのお時間をいただいているという、感謝の気持ちも必要。
ためになるというよりも、あらためて再確認したことや岸さんもそういうやり方かと知ったことなどが多い。
そして岸さんらしいというか、
「僕が院生だった室町時代〜」「僕が結婚した鎌倉時代は〜」というボケをかましたフレーズが、恐ろしく真面目な顔して出てくるのが、岸さんらしいちゃめっ気があって、よい。
大真面目にシリアスななかで放たれるので、どうかすれば、え?誤字?と思ってしまうほどだ。
普通は、こんなボケ方はしない。しかも、ちょいちょい出てくる(笑)
それが岸さん。



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