コカ茶

南米大陸の事情

ワシが持っている情報は古いことを前提で、それでも何某かの役に立つかもしれないと思って、ちょっと書いておく。
古すぎて役に立たないだろうことがたくさんあることも、付記しておくとして。

たとえば、南米のペルーは、今でこそ観光立国でそれなりにバブリーなことになっているけれども、15〜20年ほど前までは左翼ゲリラが我が物で「世直し」をしており、そいつらのせいで犯罪発生リスクが高いから、観光資源はたっぷりあるのに観光産業ではメシなんか食えなかった。ゲリラに襲撃されるようなところに、誰が来るねん?って。

政権が反米寄りだったので、国内保護主義をとってたから(アメリカを相手にせんのだったら、自国保護主義しかないのよ、南米ってところは)、輸入品の関税がバカ高くて、日本車を日本からペルーに輸入しようとしたら100%以上の関税がかけられて、物価全体が日本よりも安いのに、日本車の価格が日本で買うときの倍以上になるわけで、んなもん誰が買えるねん、と。そうなると、輸出のほうだって、相互主義で相手国からもバカ高い関税かけられるから、輸出も輸入も事実上止まってしまう。国内経済だけでグルグルまわすことになってしまって、いまどきそんなもんではどもならんですがな!ってことになる。北朝鮮だって中央アジアやアフリカやロシアや中国と「国際」で経済まわしてるっていうのに。
そういう政治経済のなかで、農民が食っていける作物をつくろうとなったら、一番儲かるのは、コカの葉。じゃがいもやトマトつくってるより、はるかに値がつく。

ペルーにかぎらず、南米大陸には、そもそもコカの葉をくちゃくちゃ噛んだり、煎じてお茶にして飲んだりする文化がある。高山病に効くから。リンゴと一緒で、万病に効くと言われている文化がある。だから、コカ茶は今でも普通に市場なんかで売られている。(日本国内には持ち込み不可やったかな)
コカの葉は、山に行けば、高山病で頭が痛くなったら、誰かがくれたりする。売ってるのは見たことないが、だいたい、誰でも持ってる。
あの葉っぱをドラム缶1杯分くらい食うと、幻覚見てヨイヨイになって楽しくなっちゃったりするらしいが、葉っぱ1枚をくちゃくちゃくと噛んだからと言って、もしかしてオレ万能?ってアッパーなことにはならん。

高山病やコカ茶のことは、まあいい。
とにかく、コカの葉を栽培するのが、農民は一番儲かるわけ。だって非合法だから。アングラ経済が儲かるのは、古今東西変わらんわけで。
たとえばアマゾンのジャングルの中なんて今でも幹線道路が載っているきりで、細かい地図が完成してない場所なんていっぱいあるから、為政者の目を逃れてコカ栽培に精を出してる連中がわんさといるのよ。アマゾンのジャングルは、基本、白地図やからね。今ではその気になれば衛星から見えるんだろうけれど、ワシが南米大陸をうろうろしていたころは、秘密のコカ畑があっちこっちにあった。

噛んでしがんたりお茶にしたりしてもどってことないコカの葉をドラッグにするには精製しないとダメなのだが、精製するのは化学式なんかも使うので、素人はでチト荷が重い。それなりの設備も必要になる。ワシは精製したことも現場を見たこともないけど、ドラム缶を数百個並べて煙がガンガン出てるような工場をつくって、その規模で精製して初めて商売になるんだとか。
この精製拠点が、かつてはコロンビアやベネズエラにあった。今でもあるってことなんだろうな、ニュースを見るかぎりでは。
かつてはコロンビアのメディジン・カルテルが一手に牛耳っていたと言うが、メディジン・カルテルはそれこそアメリカによって根絶やしにされたのではなかったか?

月明かりのない新月の真夜中、コロンビアやベネズエラからブーンと飛行機が飛んできて、アマゾンのジャングルの中の適当な原っぱに着陸するのよ。で、栽培農家からコカの葉を根こそぎ買い取って、飛行機に積んで、そのままコロンビアやベネズエラに持ってっちゃうわけ。ジャングルの中の適当な原っぱのあんな狭い場所で飛行機を離着陸させるんやから、すげー技術やね。
そういう、なんかTVドラマの「24」みたいなシーンが、ジャック・バウワーみたいな国際テロ組織の捜査のプロでなくても、ワシみたいなバックパッカーレベルでも、がんばれば見れるわけ。

そんなわけで、コカインは、ペルーのアマゾンのジャングルで栽培されて、真夜中に飛行機がやってきて、それがコロンビアやベネズエラの精製拠点に運ばれて、アメリカを中心に世界中に売られていく、と。
アメリカ全体が「もしかしてオレ万能?」ってヨイヨイになっちゃったら、アヘンで国ごと滅んだ清国みたいになっちゃう。だから、歴代大統領もトランプも躍起になって、「力による現状変更」とかいう、いつの時代の帝国主義やお前らの頭は恐竜並みか?みたいなことをする。まあ、石油ってこともあるだろうが。(ベネズエラの石油って、粘っこくて採掘が難しいらしいね)

ほんで、CIAによる世論操作もあるし、今回のマドゥロの一件をベネズエラ国民が喜んでいるのかどうかも、どんな映像が出てきたって鵜呑みにはできないっていうのが、AI時代の、いやずっと以前からの情報戦というもので。こんなん、どんな話もおいそれとは信用できないわけで。
だいたい、日本のマスコミの連中は、南米あたりではまともに取材してないしな。広い大陸のサンパウロかブエノスアイレスあたりのオフィスビルの一角にぽつんと支社を1個置いて、そこに1人か2人かの日本人記者を詰めさせて、全南米大陸全土をカバーさせてる無茶っぷりもさることながら、あの連中がやってることは、現地の新聞やテレビで流れたものを日本語に訳して送るだけやからね。いまどきのsns情報をまとめただけの「コタツ記事」のハシリが、あの連中だ。それが威張って訳知り顔でモノを語るんだから、ほんまにタチが悪い。コタツ記事にいちゃもんつけてるお前らこそが、大昔からコタツ記事書いてきたくせに。恥ずかしい職業やな、マスコミって。

話が逸れた。
さて、こういうコカインを取り巻く構図がある一方で、
南米は今でこそペルーみたいにバブリーな国もあるけど、無論、そうではない国もたくさんあって(こんなのは相対的なものだし、A国が潤えばB国は沈むのが経済やろ?)、そんな国の連中が一発逆転「成り上がり」人生を狙うとしたら、普通は、アメリカ合衆国を目指す。
日本だと移民すると聞くと、語学の問題もあって精神的なハードルが少々高いが、大陸にいると、日帰りピクニック気分で国境を越えるし、親戚や家族が隣国さらにその向こうに国に住んでるなんてのはザラなので、国境を越えることの精神的なハードルが低い。言葉も変わらん。その延長線上に憧れのUSAがあるから、一発逆転「成り上がり」人生を狙う連中は、アメリカ北米大陸を目指す。北へ北へ。north bound.

トランプはその移民を禁止して、メキシコとの国境に壁を作るとか作らんとそんな話もあったし、ハーバードの留学生を追い返すみたいな話もあったので今はどうなっているのかマジで知らないが、それまでは、一発逆転を狙う連中は、アメリカ北米大陸を目指したわけ。
でもそれだと就労ビザがないから、モグリで不法滞在の不法就労ってことになる。それでもお構いなしで行くから、トランプが激怒する。
非合法っていいの?って、そりゃダメに決まっているが、それを言っちゃあお終いよ!ってのが、たくましく生きる人間の生きる知恵であって、去勢されたワシら日本人と南米人とではたくましさがまったく違う。人生を切り開くパワーが全然違う。ハードモードの人生だと、やわなことでは日和ってられない。南米では、バスの切符のもぎりは小学生の仕事だが、鵜の目鷹の目で、10歳にしてワシらなんかよりよほど眼光が鋭いよ。
長い間戦争がなかったり格差が小さい社会は間違いなく幸福な社会だが、そういう社会ではバイタリティは痩せていくのではないか?などと言うと、全方面からクレームが飛んできそうだ。でも、ワシはときどき、そんなことを考える。

ただ、いつまでも不法就労で働いているわけにはいかない。というのも、その状態だと足元を見られる。給料が安いままで上がらん。一発逆転なんて、無理なわけ。
どうするか。軍隊に入るんよ。今のトランプ政権になってどうなったのか知らんのだけど、アメリカというのはおもしろい国で、不法就労や不法滞在している連中であっても、それを申告した上で国家忠誠を宣誓をすれば、軍隊に入れる。
軍隊に入ればとりあえずは食いっぱぐれないし、満期で除隊すれば、晴れて永住権がもらえる。そうすればまともな職に就くことも事業を起こすこともできる。

でも、こういう連中が軍隊に入ると、しんどいところに行かされると聞く。そもそも訓練の時点でめっちゃしんどいだろうが、たとえば紛争があって軍が派遣されるとしたら、そういう部隊に真っ先に配属されるのが、南米不法移民組のソルジャーだ。捨て駒扱い。
湾岸戦争のとき、南米の連中はみんな、テレビに釘付けになってたんだよ。自国の戦争でもないのに、どうしてあんなにも食い入るようにテレビを見ていたのかというと、自分の家族や友だちが戦場に送られていることを、あの人たちは知っていたから。遠い「中東を懲らしめる」十字軍アメリカの「正義」の戦争が、裏側に暮らす南米の人たちにとっては他人事ではなかったのだ。

今回のトランプやアメリカのやっていることはどうだろうか?
40killの0death。40人全滅させて、アメリカ軍の被害はゼロ。ゴルゴ13並の選りすぐりの精鋭タスクフォースがアメリカ本国でマドゥロの公邸のセットを作って模擬襲撃訓練までして襲撃したとのことだが、そのなかにはベネズエラ移民はいなかっただろうか? よしんばいたとしても今回の作戦からは外されただろうが、背後のバックアップチームには、南米移民がいたっておかしくない。アメリカのMLBだって今は、ドミニカやベネズエラやプエルトリコやメヒコが牛耳る多国籍軍だ。
米軍なんて、そんな南米からの、ベネズエラからの、コロンビアからの、一発逆転を狙う不法移民がわんさかいる。
ベネズエラ人とベネズエラ人が銃を向け合うなんて悲劇が、起こらないことを祈る。

だいたい、南米大陸には、帝国主義でしかないアメリカを嫌っている人は多い。つか、愛憎両方ある。
なんせ、アメリカに裏庭扱いされて搾取されてきた積年の恨みは、怖いよ。
一時期、社会主義寄りの政権が南米では多数誕生したけど、あれは共産主義の理想に燃えたのではなくて、アメリカが嫌いだから、共産主義の面を被っただけのこと。キューバなんて、まさにそうやん。共産主義ではなくて、反米。
だいたい、ラテン・アメリカーナって全然理性的じゃなくて、情念が支配してる人たちで、そんな人たちが共産主義と真面目に付き合えるなんて、ワシは思わない。

南米のヒットチャートに英語の音楽が入ってくることは稀だが、コーラもハンバーガーもアメ車も、iPhoneもwindowsも、南米の人たちは大好きだ。富むことは、いいことだ。だから、アメリカは、いいことだ。でも、嫌い。
アメリカと違って、南米は歴史も民族も重層的で、いろんなレイヤーが折り重なってる。
ジーナがアメリカ野郎のカーチスに言ったように、「ここではあなたのお国より人生がもうちょっと複雑なの。恋だったらいつでもできるけど」って場所が南米大陸だぞ。その場所をアメリカが「運営」するだと? 冗談も大概にしろ、と。

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