何十年に一回くらいかもしれないが、「生きていてよかった」と思う夜がある。一度でもそういうことがあれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。だから「あいつも生きてりゃよかったのに」と思う。生きていて、バカやって、アル中になって、醜く老いていって、それでも「まんざらでもない」瞬間を額に入れてときどき眺めたりして、そうやって生きていればよかったのに、と、思う。あんまりあわてるから損をするんだ。わかったか、とそう思うのだ。

今日7月26日は、らもの命日。せんべろ忌。だから、本棚からひと掴み出して、目についたところをパラパラとめくりながら、静かに夜を過ごしている。忙中閑をつくって、立ち止まるのだ。

この文が載っている本は本棚に見当たらなかったが、若い頃から身体の深いところに染みついて澱のようにたまっている言葉は、そらで覚えている。身体に入っている。らもは優しいよ。

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