臨時休業

ランチの後にゆっくりとコーヒーを飲む自由

大先輩の訃報が飛び込んできた。
20歳のとき、モノの書きかたのイロハを惜しげもなく教えてくれた大先輩だ。

80年代半ばのバブルに差しかかったくらいの頃で、広告業界というのはめちゃくちゃ忙しく、日付が変わる頃に打ち合わせして、その日の午前中のうちに納品、なんてスパンの仕事がいくらでもあった。
24時間戦えますか♪のリゲインのCMが流れていた頃で、それがあたりまえで、べつに何の疑問も抱かずにそういうワークスタイルで仕事をしていた。
ただ、大先輩は、そういうなかにあっても、いつもランチ後に喫茶店でゆっくりコーヒーを飲んでいた。雨が降ろうが槍が降ろうが、なにがあってもその時間を確保してはったな。
それがかっこよくてねー。

ワシは、社会人になりたてで右も左もわからんかったけど、お昼を食べた後に喫茶店でゆっくりとコーヒーが飲める人生はいいなと思ったんよね。
サラリーマンはあくせく働いてるけど、フリーランスのコピーライターっちゅうのは、そういうことができるのか、と。
そこに自由を見ちゃった。

スタジオ付きのカメラマンは、きっと徹夜仕事が明けたあとなのだろうが、スタジオの近くの角打ちで、よく午前中から酒を飲んでた。ワシは下戸だが、あれもかっけーな!と思った。

それがワシのワークライフバランスの原風景で、今に至るまで、ランチ後に喫茶店でコーヒーをゆっくり飲むという生活を欠かしたことがない。
寝る時間は削っても、コーヒータイムを削るというのは、そもそもその発想がない。

ワシは自分の自由を大切にして生きているが、その自由って、「ランチ後に喫茶店でコーヒーをゆっくり飲む自由」なのかもしれん。傍からすれば、どーでもいい自由かもしれんが。

そうそう、今日は行きつけの喫茶店が臨時休業だった。
さて、どこでコーヒーを飲もうかな。。
今日のコーヒーは大先輩を偲びつつ。

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