勧修寺へ。
山科のこのあたりは、勧修寺、随心院門跡、醍醐寺と、貴族趣味のお寺さんがたくさんあります。
嵐山や東山の有名寺院のような飾り気はないのだけれども、素朴な雰囲気のなかに、どこか王朝の典雅さが感じられて、なんとも言えない魅力があります。
平安時代の900年に醍醐天皇がお母さんの藤原胤子の菩提を弔うために、胤この祖父の邸宅跡を寺にしたのがはじまり。なので、やっぱ、貴族趣味なのですよ。
今昔物語におもしろい話が載っていて、藤原高藤って人が15歳のある日、鷹狩りに出かけて嵐に遭い、道に迷います。ふと見ると人家がある。雨宿りにと立ち寄ると、そこに13か14歳の列子というかわいい娘がいました。ふたりはそこで一夜を過ごし、高藤は結婚の約束に刀を与えて帰るわけです。
それから6年の月日が過ぎて、高藤が再びその家を訪れると、美しく成長した列子と、高藤によく似た女の子がいたのでした。
自分によく似た娘は胤子です。この胤子が、のちの醍醐天皇を生みます。
玉の輿伝説、ですな。
ちなみに高藤は紫式部の祖先にも当たるので、高藤が結婚の約束を守らなければ、醍醐天皇も紫式部も生まれなかったということになります。
梅や桜もキレイだということだけれども、ここの庭園は、今の時期もいいです。
樹海か?と言いたくなるような、横に伸びて地面を覆う不思議なかたちのヒノキが目を引きます。
その後ろの東山の借景も見事です。
アジサイもまだ咲いてます。
沙羅が、甘ずっぱい強い香りを放っています。
本堂のガラスに緑が映るさまは、まるで映画を見ているようですな。
この時期ならではの半夏生。
池に映る青空は、一幅の印象派のようです。
睡蓮が、早くも花を咲かせています。
まだ枯山水が出現する以前の、浄土式の池泉回遊式の庭園。咲き誇る花が浄土を表現し、池はさまざまな自然を池面に映し、奥行きを与えます。
ええお寺さんです。
勧修寺
京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6
本堂の前は、芝生です。
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