法金剛院の蓮が盛りを迎えようとしている。
蓮の寺として知られるこのお寺さんの庭園は、世界中から集められた蓮で埋め尽くされていて、7月から8月にかけての盛りのころ、この蓮の群れを鑑賞するためだけに暑さを押して足を運ぶ価値は、じゅうぶんにある。蓮なので早朝に訪れなければならないが、この時期の京は早朝であってもすでに暑い。
ハス科の多年生水草は中国が原産だけれども、日本でも野生種が確認されており、万葉集にも数首歌われている。その時代、泥のなかから清浄な花を咲かせる蓮は仏法の象徴の花として人々に敬わわれ、多くの蓮池が造られ、観蓮会が催されるようになったのだとか。法金剛院も、そうした流れのなかで建立されたお寺さんであり、その流れで蓮池を抱く庭園となっている。このあたりを「花園」と呼ぶのは、蓮をはじめとする色とりどりの花を咲き誇らせ、競って極楽浄土を表現したことに由来しているから。競ってどーする!と、思わないでもないけれども。
阿弥陀経には「極楽浄土に青、黄、赤、白の蓮の花が咲く」とある。法金剛院に集められた蓮は80種に及び、一重から八重まで、色目鮮やか。つまり、これが、往時の極楽浄土だということ。
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