生誕1250年記念特別展『空海 KŪKAI─密教のルーツとマンダラ世界』を見に、奈良国立博物館へ。
びっくりするくらい混んでいて、空海人気の高さに改めて気付かされる。
僕が空海を好きになったのは、やっぱ彼が、唐まで行って密教を持って帰ってきた、旅をした人だったということですわ。
もちろんそんなレベルで収まるような人ではないし、なんなら日本史上最高到達点に達する天才だとも思うが、僕はまずもって、旅する空海、という人が好き。
だいたい、当時の遣唐使船に乗って唐に行くのは、命懸けやしね。東シナ海で難破した遣唐使船はいくらでもあるし、空海が乗った船も危なかった。
密教を丸ごと持ち帰り、それを高野山でさらに深化させ、一大宗教セクターをつくりあげたのも、壮大な旅だと思うし。
あたりまえだけど、展示は密教と空海のオンパレード。これでもか!と、メインディッシュばかりが次々と展示されていて、出品物がエグい。
のっけから、大日如来を取り囲む4体の仏像が鎮座する「五智如来坐像」の立体曼荼羅。
そして、高野山から2幅の巨大な両界曼荼羅。
高雄曼荼羅は高さ何メートルのしろもの?
西大寺から12の天が描かれた十二天像が12幅どどーんと。
東寺と醍醐寺から五大力がどーん。
インドネシアから金剛界曼荼羅の立体群像たち。。
中国・西安から至福の文殊菩薩坐像。
無数の法具に経典。国宝と称される空海の筆によるもの。
密教はやっぱ、仏像の宗教と呼んでもいいと思うほど、仏像、仏画、曼荼羅とビジュアルで伝えるものが多い。
言葉は必須だけど、言葉だけでは伝えきれないものを伝えるために、これらのものが必要なのだ、と。
おかげで後年、ワシらは、まずはこのビジュアルを入口にして密教の深淵を覗くことができる。
そう考えると、高野山なんて、じつは山全体丸ごと立体曼荼羅みたいなものではなかろうか。
写真は図録から。
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