関テレの3階にあるメビック扇町で、「わたしのまちおもい帖 – 日本中がマチオモイ2015」展が開催されています。
はじまりは、広島の女性コピーライターさんが、ご自身のふるさとである瀬戸内海の小さなまち、因島の重井町を、自分の目線で、自分の言葉で伝えたいと、アクションを起こしたこと。私家版で、「しげい帖」というものをつくられたのですね。
その企てが大きく羽ばたいて、全国でたくさんのクリエイターたちが、自分のまち、思い入れのあるまちを、自分目線で紹介する冊子(もしくは映像)をつくるというプロジェクトに発展しました。
それが今、約1000冊になっています。
大小さまざまなまちの「マチオモイ帖」があって、見てるだけでとても楽しいです。
北区だと、中津や中崎、天満、同心、天神橋、中之島、梅田…、ほんまに狭いエリアに限定したものもあれば、市や県にまでエリアをひろげたものもあります。もちろん、市町村の区割りではなく、このあたりのエリア、なんてのも。果ては、海外のものまであります。
とーっても自由です。
ガイドブックのようでガイドブックではないようで…、要するに、自分が気に入ってる店や場所といった定型のフォームにしたがうのではなく、まちへの思いをテキストやビジュアルで見せたり、というのが多いですね。
判型も自由。A4やB6といった定型に収めているものもあれば、小さな豆本にしたり、超横長にしてみたり、果ては布にアップリケを貼りつけてつくったり、冊子という枠すら超えて映像作品にしてみたり…。
このへんも、とーっても自由です。
ひとつひとつを手にとって見ていると、クリエイターが、対象物(まち)に向けての愛情を表現したものになっていることが、よくわかります。
「クリエイターが社会に対してできること」
これが、プロジェクトの、コンセプトになっています。
なっているのだけれども、そのじつ、これらの作品で表現されているものは、クリエイターが社会に対してできることではなく、その裏返しの、「クリエイターが社会からもらったもの」が、表現されているのですね。
このまちから、こんなにもでっかい愛情をもらった、それを表現することで、社会に対してなにかを返していく。そんなふうに、言い換えることができると思います。
震災からこっち、家族や友だち、地域とのつながりなど、自分を育んできた大切なものをあたらめて見つめ直す動きは、いたるところではじまっています。このプロジェクトも、そんななかで大きくなってきたものだと思います。
そんななか、思うことは、
マチオモイ帖のように、自分のまち、足下に目線を向けることは、とりもなおさず、自分自身の内側を見つめることなのだ、ということです。
自分の目線でまちを紹介するということは、現在の自分をかたちづくってきたものを紹介することにほかならず、そう考えると、これらの作品はすべて、「僕はこのような人間なのです」と、自己紹介をしているのだ、と。
そうすることで、自身が何者であるのか、という問いに自身が答え、その先に、「クリエイターが社会に対してできること」があるのだ、と。
その意味でも、このプロジェクトは、自身へ問いを向ける、いいきっかけになると思います。
そして、そうした試みは、なにもクリエイターの専売特許じゃない。まちに暮らすひとりひとりすべてがマチオモイ帖をつくったら、とてもおもろいやろな、とも。
東北の震災から4年目を迎えた今日、鎮魂の気持ちとともに、さまざまなマチオモイ帖を見ていました。
今回、なんとなくいいなあと思ったのは、
ニューヨークの「キャロルガーデン帖」。
スクラップブック仕様で、躍動感があって好きです。
もう一個は、「兵庫・長田 おかんアート帖」。
天神橋に通じるものがあって、ゲラゲラ笑いながら見てました。ええ、おかんアートは、立派なアートです(笑)
「わたしのまちおもい帖 – 日本中がマチオモイ2015」
3月6日(金)-29日(日)
平日/11:00-21:00 土日祝/11:00-19:00
※会期中無休
メビック扇町(大阪市北区扇町2-1-7)
入場無料
http://www.mebic.com/event/5026.html
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