13年目の3.11 TJWK

13年目の3.11

13年目の3.11がやって来る。
2011年3月11日、東日本大震災が発生して、その年の5月1日にTJWK関西を立ち上げて、HPをオープンさせて、東日本大震災の震災遺児を支援する活動をはじめてから、丸13年が経とうとしている。
僕もatricotも、自分たちが運営の中心にいてボランティア団体を組織した経験がなかったので、ほんまに手探りではじめてね。(そもそも2人とも、いやいやボランティアとか、そんな意識高い系じゃないし!との気分が溢れまくっている2人だったのだ)

売り上げの100%全額を寄付する。というのは、今でこそTJWK関西の売りみたいになっているけれども、そもそも、そこから運営経費をとってもいいという発想がなかったからで、最初はあたりまえのように運営経費は自己負担していた。それがあたりまえだと思ってたのよ。というよりも、運営にそれなりにお金がかかるなんて、そんなところもまったくイメージできてなかったのよ。僕らはなかなかアホだったのよ。
今も、作品の売り上げの全額は寄付だが、ワークショップの講習料を運営費に充てさせてもらったり(事前に断りを入れている)、運営に使ってくださいとのご寄付をいただいたりして、運営している。曲がりなりにも持続可能なスキームは持てている。

いつまでやるのか?というのも、どこかで止めるという発想がなかった。やるのも止めるのも、そもそもその発想がなかったので、数年経ってから、あれ?これいつまでやるんやろか?と、自問する日々が続いた。
ちなみに、遺児というのは、両親のうちのどちらかを亡くした子ども。両親とも亡くした子どもは孤児。便宜上、そのように呼称が分けられている。
震災の年に生まれ、遺児ないし孤児になった子どもが成人するまで20年かかる。TJWKが遺児・孤児支援であるなら、最長は20年かなあ、と今でこそぼんやりと考えることはあるが、はっきりとした決め事はなにひとつない。なんなら20年を過ぎても続けていそうな気もする。

もう、やめ!やめ!と思うことはなんぼでもあったけれども、やめどきを逸したというか、やめかたもよくわからんまま、今日に至っている。

ちなみに、2019年3月現在、
震災遺児は1554人
震災孤児は243人
がいる。
それ以降の数字が分からないのがもどかしいが、この数字が今のところ最新だ。

先日、別件で、福島県の大阪事務所を取材する機会を得た。
TJWK関西を運営しておいてなんだが、僕は一度も福島を訪れたことがない。
福島には行く機会もなかったし、福島へ行くよりも目の前のことを一所懸命やろうと思って、今日まで来た。
福島県の大阪事務所の方と話していて、印象的だったのは、
「私たちは、現在もまだ有事だという感覚です」
と話されたことだ。
福島県の大阪事務所に行くと、廃炉の現状などを伝える定期刊行物が数種置いてあり、他の都道府県の大阪事務所とは少し景色が違うのが分かる。さすがにそれ一色ではないけれども、片隅どころかフロアの真ん中に近い位置に、まだまだ、そういうものが置かれているのだ。
処理水のこともそうだが、なによりも、大阪に避難されている方はまだ大阪に留まっており、福島には帰れていない。そんな人たちの連絡や情報提供も、事務所の仕事のひとつだ。
まだまだ現在進行形のことだと頭では分かっているのだが、「まだ有事です」とあっさりとあたりまえのように目の前で口にされると、ちょっとびっくりしたし、こんな言い方をしてはいけないのかもしれないが、「あぁ、僕たちはまだTJWK関西を続けていいんだな」という気持ちになった。
おかしな感覚だけど、そういう気持ちも、それはそれで、続けていく原動力にはなっているのだ。

じつはTJWK関西では、ここ数年、寄付の原資となっている作品の売り上げは右肩上がりで上がっている。
月命日に各地に詣り読経されるお坊さんや、90歳を超えてなお靴下を編んでご寄付されている方など、印象的な方々の存在も知った。

写真は、13年前の2011年6月4日に天神橋筋商店街の関西大学リサーチアトリエ(今はもうない)で開催した第1回目のTJWKイベントの様子。どれくらい集まってくれるのか全然わからないなかで、蓋を開けたら100人くらいが集まってくれて、アトリエに入りきれないほどで、熱気ムンムンだったな。
社会システムデザインの草郷孝好関大教授をゲストスピーカーに招いて、水俣病をきっかけに人心が分断され不信社会に陥った水俣がどう再生していったのか、「海ん者と山ん者がつながれば、まちはどうにかなる」「もやいなおし」の事例を話してもらった。東北でコミュニティの復興の参考になれば、との思いから、水俣の事例を紹介してもらったのだ。
こっからはじまったのだ。こっから13年が経った。

もうすぐ、今月末で13回目の決算をして、寄付をして、監査を受けて、決算書を作成する時期がやってくる。今年度もたくさんの事業やイベントをやった。
関わってくださったみなさんのおかげで、今年度もなんとか走り切りました。ありがとうございまいた。

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