渡岸寺の十一面観音さんを拝みに、長浜のその奥の高月は奥びわこへ。
国宝になっている十一面観音は全国に7体あるそうで、六波羅蜜寺とか法華寺とかのそれも素晴らしいのだけれども、念願だった渡岸寺の十一面観音さんのご尊顔をようやく拝することができました。
遠かったけどなー。新快速で2時間。。
今にも歩き出しそうなかんじで右足を動かさんばかりの姿が、腰のひねりと相まって、なんとも艶っぽいです。
観音さんは一応は男性だし、あえて言うなら性別を超越した存在でもあるけれども、慈悲の心を宿しているので、仏師はどうしたって、彼の中に女性性を見出します。
仏師が不明なのだけれども、この仏師もまた、女性性を表現していますね。
とにかく、プロポーションが美しすぎます。かつ、一木造りならではの生命力がありますね。
そして、頭の上に戴く、11面の化仏。
高さだけなら、顔とおんなじ大きさです。これほど立派な大きさのものが並んでいるのに、全体を見るとちゃんとバランスがとれているのも、ただものではないですね。気品に満ち溢れています。
さて、じつは、どの十一面観音も、真後ろの顔は、爆笑していて、これを「暴悪大笑面」と言います。
ほぼすべての観音さんは背後に光背を持っているので、真後ろのお顔を見ることは叶いません。
でも、この渡岸寺の十一面観音さんには光背がなく、四方八方ぐるりを見渡すことができ、もちろん、真後ろの暴悪大笑面を見ることができるのです。
この界隈は姉川の戦いの戦場になったところで、その際、多くのお寺や仏像が焼かれたと言います。
戦果を逃れるために大慌てで村人が仏像を避難させたことも多く、おそらくそのせいで光背がないのでしょうが、そのおかげで、現代の我々は、こうして暴悪大笑面を拝むことができるわけです。
それにしても、この高月という場所は、観音の里と言われるだけあって、あちこちにお寺があり、観音さんが祀られています。マップに載っているだけでも120はゆうに超えています。
ほとんどが、集落で守っているお寺が多く、生活の隅々まで息づいている場所です。
琵琶湖の豊かな水が水路となってあちらこちらに張り巡らされ、その水路によってつくられた大地は、観音さんによって守られている。
しかも、そのほとんどは、境内に神社を構える、神仏習合の姿です。
とても、気持ちのいい場所です。
渡岸寺の十一面観音さんは撮影できないので、パンフから。
渡岸寺(向源寺) 観音堂と観音の里
長浜市高月町渡岸寺88
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