愛珠幼稚園
北浜に、現役としては最古の園舎を使用している愛珠幼稚園があります。適塾跡の隣です。
通常はお子たちが通う幼稚園ですが、年に1回、ここが一般公開され、僕たちも見学できるのですね。
ただ、いつもの年は並ぶことなくゆったりと見学できるのだけれども、来年以降は耐震工事に入るため、今年を逃すと数年は見学できないとあってか、いやー、とんでもない行列ができてました。

愛珠幼稚園は、明治13年(1880年)、船場北部の連合町会によって設立されました。
当時は北浜5丁目の北浜小学校(現在の北浜4丁目、大阪倶楽部の北裏)内に建てられ、明治16年には豪商・鴻池家の持ち家を借りて、現在の今橋に移りました。
その後、明治22年に連合町会から大阪市に移管され、市立幼稚園に。現在の園舎は3代目で、明治33年に敷地を移して着工、明治34年4月完成のものです。
この園舎は武家屋敷や寺社を思わせる威風堂々とした和風建築で、正門も塀重門です。そして、玄関からすぐの部屋は遊戯室で、吹き抜けの天井は格子の枠組みの格天井です。
これだけでも船場の人々の子弟教育にかける熱意と心意気の高さ、重要性を認識していたことが伺えます。
さらに、遊戯室に置かれたグランドピアノは、ドイツ・ライプツィヒのイルムラー社のもので、当時、世界最高ランクの評価を受けていたものだとのことです。
園舎にはいたるところに工夫が施されていて、遊戯室の天井を高くして周囲の庇よりも高い位置に窓を巡らせることで採光と通風をよくしています。床を二重構造にし、あいだにおがくずを詰めることで、冷気と湿気を防いでいます。園庭と園舎の廊下は高さが同じにしてあり、段差がありません。今でいうところのバリアフリーの考え方が、導入されています。じつに細やかです。
3クラスの教室の他、和室もあります。ひな祭りや端午の節句などの行事を楽しむほか、ここでお茶遊びをしたりします。今でもしてますね。そういうマナー教育の重要性が園児の段階から必要だという、確たる認識がこの幼稚園にはあり、ハードの素晴らしさもさることながら、ソフト面でも、創設当時の精神が受け継がれているように見受けられます。
適塾を持ち出すまでもなく、大阪は教育熱心な地域です。商人たちは、教育の重要性を知り、私財を投じて学校をつくってきました。
その粋が、愛珠幼稚園ですね。
昨今は、公募校長問題や学区の自由化、教育バウチャーの導入など、賛否両論の教育改革が取りざたされています。これもまた、教育の重要性を知るからこそ、だと思うのですね。
その意味では、今も、教育を重要視する大阪の精神は、受け継がれていると思います。愛珠幼稚園が現役であるということも、その証左でしょうね。
園内は撮影禁止なので、あまり写真はないけれども、外観と入口だけでも。

 

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

愛珠幼稚園

Flickrに画像あります。
愛珠幼稚園(2013.10.27)

愛珠幼稚園

大阪市中央区今橋3-1-11
http://www.ocec.ne.jp/yochien/kindergarden/aisyu/

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