『白川静さんに学ぶ これが日本語』

『白川静さんに学ぶ これが日本語』小山鉄郎
「もののけ」は「もの知り」に通ずる。「もの」は精霊、霊的なものの意味で、つまり精霊の世界、お化けの世界をよく知っているものが「もの知り」。
そこから派生して、「もの狂い」は霊の力で正気でなくなった狂気のこと。「もののふ」は、悪い邪霊を祓う集団、つまり武士のこと。「ものいみ」は災いから免れるために一定期間、食事や行動を忌むこと。
全編、こんな調子である。
「はな」を漢字で表記すると、「華(花)」「鼻」「端」。「はな」は先端にあるものの意。
「華(花)」は地上から伸びていき、その茎や枝の先端に咲くもの。
「鼻」は顔の先端に出ていて目立つもの。
「端」は文字通り先端のこと、ものごとのはじまりのこと。
食べものを先端で挟む「箸」、両脇に架け渡す「橋」…。
こんな事例が50個。
甲骨文、金文など漢字の始原を訪ね、中国ですら並び立つ人がいないほどの世界の宝、白川さんの漢字学を、ごくごくコンパクトにまとめてくれた良書。
従来の漢和辞典の配列は、部首順・画数順だけど、白川さんのは、膨大な仕事を通じて「天象」「祭祀」「農耕」などのテーマに関する字や、「安」「為」「婁」など同じ形を含む字、というように関連する字を集めて解説し、漢字の繋がりがひと目でわかるような配列をつくってくれた。
唯一無二の人だ。


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