比叡山を借景とした圓通寺の庭。
この比叡山の借景を得るために、後水尾天皇は、あっちこっちの場所をさがしまわったとか。
10年くらい前だったかな、圓通寺と比叡山の間にマンションを建てる計画が持ち上がり、住職が中心となって反対運動が展開され、彼の寺は、反対運動の拠点みたいになってました。
そのせいもあって、マンション建設計画は消滅、この景色は守られたのでした。
京都人の景観に対する意識の高さが垣間見れるできごとだったけれども、垣根を越えて背後の景色を庭の一部に取り入れるとなると、必ず、この手のことにぶつかります。
それを考えると、作庭した後水尾天皇の才能もさることながら、それを残すために尋常ではない努力をし続けている人たちの情熱にこそ、目を向けたくなりますわ。
比叡山の稜線、絶妙のアンバランスさで植えられた樹々、そして差し色のような紅葉。
雄大にして我が手に閉じ込めたような風景。
じつにじつに、京都らしい美意識に貫かれた庭ですな。
この時期でも人影は少なく、ええ場所です。
圓通寺
京都市左京区岩倉幡枝町389
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